ロベルトとフランチェスカはイタリア パドヴァの小高い丘の上の小さな村に住んでいます。
自分たちの住んでいる村は世界一美しい!と自負しているロベルト。
広々とした高台に大きな家が2棟ー自分たちの家と娘家族の家。隣の娘家族には双子の男の子がいて、おじいちゃんとおばあちゃんにあたる二人が学校の送迎から普段のごはんまで面倒をみている大家族です。
敷地内にはぶどう棚、オリーブの小さな林、鶏小屋に畑、そして大きな窯があります。
オリーブオイル、野菜は自家製です。ちゃんとオリーブを絞る大きな木製道具もありました。
料理人でもあるフランチェスカのキッチンはコンパクトですが、ファミリーダイニングを囲んでL字型に設置されています。
イタリアでは家庭でも料理が順番に出てきます。サラダやハムなど前菜、パスタかスープ、そしてメイン料理。タイミングを見計らいながらマンマが忙しく立ちまわり最高の状態で料理が出てきます。そんな日々の食事を支えるキッチンです。
大きなボウルいっぱいのサラダ、山菜のように自生する細いアスパラをたくさん摘んできて作ってくれたリゾット、畑で採れたラデッキオとクリームのラザニア、いろんな種類の肉のロースト。
どれもこれもが忘れられない優しい味の料理でした。
なかでも忘れられないのは、初めて二人のお宅に伺った時、あたりがようやく暗くなる20時頃、なにやらたくさんの人が庭に集まり始めました。近所に住む親戚たちのようでした。たくさんの賑やかなイタリア人に囲まれ圧倒されていると、飲んで食べて、食べて飲んでワイワイおしゃべりという大宴会がはじまりました。
それは私たちへの歓迎パーティーでした。歓迎ももちろんですが、それにかこつけて自分たちも愉しむぞー!という大集合。フランチェスカが次から次へと沢山の料理を仕上げていました。
そしてメインは、ロベルトが庭の窯で焼いた沢山の肉!
山盛りにされた美味しそうなローストを前に夫に「これって何肉?」と聞くと「さっきその辺を歩いていた鳩やら鶏やら」とのこと!圧倒されている私に「食べろ」「うまいから食べろ」とみんながどんどんすすめてくれます。
これが最高のもてなしであったのです。
イタリア人の食べることへの並々ならぬ情熱をしっかりと感じました。
その夜の賑やかなこと、たくさんの料理、窯でローストされたお肉の美味しさは忘れられない思い出となりました。