もう20年以上まえー
その春、私は仕事で意図せぬ異動となり、自身が卒業した製菓学校に勤務することになりました。
なじめない環境、仕事内容も私には重荷で日々鬱々として過ごしていました。
そんな中、何かのきっかけで声をかけてくれた同じ職場の彼女。
座学を担当する彼女は白衣を着て、いつも本を抱えて移動しているイメージでした。
歳も一つ違い、大学が同じ地方だったこともあり打ち解けて話をする仲になりました。
まじめで勉強熱心だった彼女は、ある日の夕方、分厚い本を抱えて「今日はもう帰るね。明日までに
この本を読んでしまわないといけないから」といったのを鮮明に覚えています。
学生の前で、講義をするということは多大な努力が必要なことなんだと思い知った瞬間でした。
ほどなくして彼女は体を壊して教壇を下りました。
私もその数か月後、退職しました。
それから紆余曲折がありしばらくの音信不通後、突然の連絡がありお互いのその後を知る機会がありました。
それからはごくたまに会って話をする仲に。
同じく娘二人を持ち、それぞれの配偶者の職業も同じなのでしばらくぶりに
会ってもいつも話は尽きず、私は教わることもたくさんあったのでした。
そんな彼女と5年ぶりに会うことになりました。
仕事のこと
親との別れ
子供の成長自立
たくさんの変化をへて今は新しい仕事に取組み、新たなチャレンジと勉強をしている彼女に、若い時から変わらない
姿と、様々な経験をしたからこその姿の両方を見たのでした。
私自身は経験しなかったことも、人の話から学ぶことや考えることの面白さを感じました。
彼女の義理の妹さん(片瀬有美子さん)のすてきな作品をいただきました。
小さな子供さんを育てながら作陶する作家さんのお話を伺いながら、何年か前の自分たちの姿を重ねたのでした。
素敵な縁をありがとうございます。